
受賞作品 お客様から頂いた感動
梅田守さん MAMORU Umeda
梅田守さん MAMORU Umeda

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「子どもたちを救うチャンスをくれてありがとう」
お客様からの言葉に涙があふれた
梅田さんは、ご自身が経営する自動車ディーラー会社で「新車成約でポリオワクチン(1人分約20円)5人分、中古車成約で2人分、車検入庫で1人分」というルールを作って実践されていますが、どんな経緯ではじめられたのですか。
今のように、ルールを作ってワクチンを寄付するようになったのは、お客様からいただいた、ある気付きのおかげです。僕の会社では、お正月に福袋をつけて初売をしているのですが、以前はその福袋にプレゼントとして数万円のクーポン券などを入れていました。でもある年、大きな地震がおきて、年の瀬を前にたくさんの方が被災して困っている様子が報道されていました。何か会社としてできることはないか考え、福袋の内容を充実させて、福袋の売り上げを、被災地に義援金を贈るというチャリティにしたんです。すると、多くのお客様が共感してくださり、200セット用意した福袋は、1日で完売!驚きました。みんな、自分が物をもらうこと以上に、「だれかの役に立つ」ことに関心があるのだと気付かされたんです。
その後、年に1度の初売りのときだけでなく、日ごろからお客様と一緒にできる支援のしくみを作りたいと思い、いろいろ調べました。和田投手の僕のルールからJCVを知ったのはちょうどそのころでした。すぐに、これだ!と感じ、ルールを作ってお客様とともに寄付をするようになったんです。
エッセイにも書きましたが、ワクチン寄付を知り、予定していた車検から新車購入に切り替えていただいたお客様には、「世界中の子どもたちが皆、幸福であってほしい!! その願いをほんのわずかでも叶えていただけたことに感謝です。」というはがきをいただきました。思わず、涙があふれました。20代のころからずっと車にかかわる仕事をしてきましたが、これまで働いてきて、本当によかった!と感じた最高の瞬間でした。お客様から大きな勇気をいただき、もっと支援の輪を広げていきたいと思うようになりました。僕は「福島の“和田投手”」を目指します!
梅田さん宛に届いた、お客様からのはがき。梅田さんのルールのおかげで社会貢献できたことへの喜びが直筆でつづられている
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人はみんな「誰かの役に立ちたい」
という本能をもっている
熊本と細川家のご縁は、約380年前に細川忠利が熊本城に藩主として入城したことにはじまります。以降、代々の当主は熊本とともに歴史を歩み、現在も細川家の本邸は熊本にあります。細川佳代子賞は、この細川家の一員である細川佳代子が受賞者の梅田守さんを熊本の自邸やゆかりの地にご案内するというものです。
熊本は初めてで、歴史がお好きという梅田さん。旅の道すがら、約700年の歴史を有する細川家のさまざまなエピソードに興味深げに耳を傾け、積極的に質問されていました。しかし、それに輪をかけて熱くなったのが「いかに寄付文化を広めていくか」というテーマでした。
梅田さんのエッセイのどんなところに惹かれましたか。
細川「梅田さんは、会社という組織で寄付活動を広げてくださっているわけですが、まず、地域に密着した自動車ディーラーというお仕事の性質をうまく機能させて、「地域社会」に根付いた活動になっているという点がユニークですね。
それと私は、どんな活動においても「広げていく」という点に関心があるんですね。困っている誰かのために、と寄付やボランティアをすると、相手からありがとう、といわれるだけでなく、ふだんの生活で忘れがちな大切なことに気付かされます。JCVの支援者の方も、ほとんどの方が「寄付させてくれてありがとう」とおっしゃいます。そういった感謝や喜びの気持ちを、自分から、さらに周囲の人たちへと広げていったら、社会はずいぶんと変わると思うんです。
梅田さんのエッセイは、梅田さんのルールに共感したお客さんが喜ばれた様子、そしてこの共感の輪を広げていこうという気持ちが綴られていましたよね。ですから読んだ瞬間に、「あ!これがいいな」と思いました。」
受賞してから、なにか気持ちの変化はありましたか。
梅田「すごくはげまされましたね。細川さんから「“幸せの連鎖”を広げているところがいい」と言っていただいたので、「よし! もっと広げるぞ!」と大いに奮い立ちました。そして、お客様から「よかったですね!」という声もたくさんいただきました。僕一人で完結する寄付のルールだったら、ちょっと違っていたのかもしれません。お客様と一緒に、ワクチンを贈れる喜びを分かち合えて、本当に感謝しています。
寄付のルールをはじめてつくづく感じるのは、「誰かの役に立ちたいという気持ちはあるけど、何をしたらいいのかわからない」という人が実にたくさんいらっしゃることです。」
細川「そうですね。人間は、本来「だれかの役に立ちたい」という本能を持っていると思います。でも、今の時代は、優先しなきゃならないことや情報があふれているせいか、その気持ちが封じ込まれているように感じます。私は、さまざまな寄付やボランティア活動に関わっているのですが、自分以外の人のために動いているとき、みなさんすごくいい表情をしているんですね。人は、だれかの役に立つことで、はじめて幸せを感じるのかもしれません。」

細川家の本邸

本邸の裏には、歴代の細川家当主のお墓が並ぶ墓地がある

「人間は、感動しないと成長できないものですね。飾らず、素直に、ありのままであることが大事だと思います。梅田さんは、それが自然と身についてらっしゃる方だと思いました」

一人ひとりがエンジンになればきっと、
寄付文化が広がっていく
細川「梅田さんは、受賞後もいろいろ広げるための活動をしてくださっているとうかがいましたが。」
梅田「同業者が集う会合のときなどに、ワクチン寄付の活動を話すようにしています。もちろん全員が賛同してくれるわけではありませんが、なかにはとても感激して、さっそく始めようと動き出してくれた方もいらっしゃいます。
それから、横のつながりだけでなく縦方向にも広げたいと思って、本社にも働きかけています。大きな組織だけに、実現の可能性は低いかもしれないのですが、やってみないと分からないし、やらないよりは意義があると思うんですよ。事実、思いのほか話が上層部まで進み、それなりの手ごたえもあるので、やってみて良かったと思っています。」
細川「すぐに「できない…」とあきらめず、挑戦することって大事ですね。どんなに小さなことでも、大勢の人がそれぞれ1歩ずつ踏み出すだけで、あわせて10歩になる。とても大きな力になります。」
梅田「みんなが車のエンジンのような働きをすると、どんどん広がっていくと思うんです。“幸せの連鎖”がたくさんおきてくる。そのためにも、これからもっといろんな方法で、人に伝えていきたいと考えています。
実は今、あるプランを考えているんです。僕の会社は、父の代に創業しているのですが、来年50周年を迎えます。細川さんの著書のなかに、スペシャルオリンピックス日本(注)を設立される際に、ある企業が創業25周年のお祝いにお金を使うかわりに、その費用をまるごと設立資金に寄付されたと書かれてありましたよね。これ、とても心に響きました。僕の会社でも、そんな企画ができたらいいなと。」
細川「梅田さんは、想像以上に寄付の活動を広めてくださっているようですね。私もとても励まされました。これからも、梅田さんの活動に期待しています!」
(注) スペシャルオリンピックス日本:知的発達障がいのある人たちに様々なスポーツトレーニングとその成果の発表の場である競技会を、年間を通じ提供している国際的なスポーツ組織の日本支部。

「受賞後に、業界新聞からも取材を受けたのですが、1度しか面識のなかったある方が、その記事を見てわざわざ電話をくださいました。いろんな人との新しいつながりもいただきました」

「細川さんが自ら運転してくださる車の助手席に座っていろいろな話ができたことは、とても貴重な体験となりました。どんな言葉で感謝の気持ちをお伝えしてよいか思いつかないほどです」

「平成21年の6月は、これから私の人生の中で最も貴重な体験、文字通り「世界にひとつだけの授業」になることでしょう」 (授業を終えた梅田さんから細川審査委員長へ届いた手紙より)






