



薬剤師さんは、人の命に直接関わるお仕事ですが、
こちらでは、どんな理想をかかげて教育をされていますか。
この学校は昭和52年に開校しているのですが、最初は全寮制だったんです。薬剤師として仕事をするには、薬学の知識を充分に習得することが最も大事ですが、人間的にも豊かでないと、いい薬剤師とはいえないと思うんです。「心豊かな、やさしい薬剤師」を育てることが、私たちの目標です。
今は、全寮制ではありませんが、その精神は受け継いでいて、学生さんとの接し方は結構濃密です。学校をさぼっていると、どんどん電話をしますし(笑)、自宅にまで出向くこともよくあります。悩み事相談にのることもあるんですよ。そんな風にして一緒に過ごしていくうちに、学生さん達は「自分には可能性がある!」と自信をもつようになりますし、私たちもその成長に立ち会えるよろこびがあります。そうして迎えた薬剤師国家試験の合格発表の日は、感動や涙でもう大変なことになります(笑)。


ルールをはじめたきっかけと理由を教えてください。
学校としてどんな社会貢献をしていくべきかを考える会議をしたのですが、そのとき若い職員から、盲導犬や点字のボランティアなど、予想以上にたくさんの提案が出てきたんです。若い人がこんなに社会貢献に関心を寄せていることに正直驚きました。さまざまな種類の支援があることを改めて認識しましたが、私たちの学校でできることには限りがあります。いろいろ考えた末、未来につながっていく「子どもの命を救う」ことが私たちにとって最優先の支援であるという結論になりました。
そして、和田投手の「僕のルール」の影響も大きかったです。あのテレビCMは、純粋にかっこよかったし、いいことをやっているのを堂々と言っている姿も爽快でした。なんとなく日本では、寄付活動などいいことをしていても、他人に公表せずこっそり行うほうが美しい、という風潮があるように感じられます。うちの学校で支援活動を行う場合も、寄付をしていることを公表すると「商売目的なんじゃないか」と誤解を受けるかもしれないという不安もありました。でも、JCVの担当者の方の「ひとりでも多くの人に、この活動を知ってもらいたい」という言葉に大きな勇気をもらいました。それ以降は迷いはなくなり、「どんなことを言われても、いいと思った支援活動はやったらいいし、それを堂々と公表しよう」というキモチになりました。
そんな経緯があって、入学者1人につきワクチン5本を贈るというルールができあがりました。2008年度は約3000人のみなさんがうちに入学してくださっているので、年度末には合計で約15,000本のワクチンをはじめて寄付できる見込みです。


ルールを作られてから、なにか変化はありましたか?
職場のみんなも、このルールをとても楽しんでいて、一人ひとりがこれまで以上に仕事に誇りをもつようになりました。このルールをきっかけに、いい連鎖が起こっているように感じられます。私自身も「まだまだ行動が足りないぞ」と感じていて、楽しみながらできる支援があれば、積極的に参加していきたいと思っています。
「だれかのために、何かをしたい」という人たちにメッセージがあればお願いします。
なにに向かって、どのくらいの支援をするかは、個人個人にゆだねられています。大きな支援ができるひとは、大きなことをすればいい。それができない人は、身近でできる小さなボランティアからはじめてみたらいいと思うんです。
私事になりますが、私は年に1回町内会のゴミ拾いに参加しているんです。自分の手を動かしてゴミを拾い、それによってまちがきれいになっていくことは、とても気持ちがいいものです。これはグローバルな支援活動とは言えませんが、それでも立派な社会貢献のひとつだと思っています。社会支援は、規模の大小を問わず、どれも等しく尊い行いだと思います。
私は、どんな仕事にも社会貢献という要素は必ず含まれているように思っています。自分の仕事を客観的にみつめるのは、むずかしいものですが、そういう視点で改めて自分の仕事をみつめてみるのもいいかもしれませんね。







