



大学1年生のとき、認定NPO法人 世界の子どもにワクチンを 日本委員会(以下JCV)で学生ボランティアをしていた地元の親友に誘われたんです。「ミャンマーに行けるぞ」って。そのころ、世界中を見たいと強く思っていたのですが、ミャンマーなんてなかなか観光ではいけないところ。ぜひ行きたい!と飛びつきました。それが初めて参加したJCVの海外支援先国視察のスタディツアーでした。ワクチン支援のことや国際貢献のことなど、もちろん、ほとんど何も知らない状態でしたね。
現地に行ってみて、町にも村にも、笑顔の人が多いことに驚きました。治安だって、ある意味日本よりもいい。軍事政権のことや経済発展の遅れなど、ミャンマーについて新聞やニュースで知っていた予備知識とのギャップを感じましたね。相手の言葉が全くわからないなかで、些細なことでも意思が通じたときの快感も知りました。結局、学生の間に2回ミャンマーを訪問したのですが、おどろいたことも、うれしかったことも、わからなかったことも、いろんな意味で勉強になったと思います。国際支援は、支援する側が与えるだけじゃない、逆に受け取るものもたくさんあるんですね。
約2年分のビール寄付をこの日JCVへ贈呈。総額9,511円!「これで3回は飲めるなぁ…」
貯金箱のなかにはお札もたくさん。小銭だとすぐいっぱいになってしまうので、ときどき両替をしていたそうです(笑)。律儀なB型。

現在は楽天で営業の仕事をしています。楽天市場に出店しているお店が僕のお客さんです。どの商品を、どのタイミングで、どんな言葉で売り出すか、お客さんと一緒に策を練り、実施していきます。動きが早く緻密な業界ですから、ついて行くのに必死だし、商売のことも業務のことも、今は学ばなきゃいけないことだらけです。でも施策が当たって商品が完売したときなどはとてもやりがいを感じます。
そんな日々でもミャンマーで出会った人たちの笑顔や、あの場所で受け取ってきたことは、僕の心に確かに残っています。それで、2008年ごろからワクチンを寄付するためのルールを実践するようになりました。僕の場合は、ビールが大好きで、とくに休日に仲間たちと飲むビールは最高です。そこで、1杯ビールを飲むごとにワクチンを寄付するというルールを考えました。グラスの大きさなどあまり細かいカウントはせず、1杯20円。ときには1カ月分まとめてなんてこともあります。ざっくりでも気にしない。そんなルールです。
どんなに忙しい時でも、イベントのボランティアなどJCVとのかかわりを大事にしている。「仕事では会えないおもしろい人たちといっぱい出会えるから」
鈴木さんとお酒を結ぶルーツ。「実家が居酒屋で、2階の僕の部屋は宴会場。大学受験のころには、毎晩片づけをしないと勉強ができないという恵まれた環境でした(笑)。あ、両親たちは僕の寄付のこと、ほとんど知りません」

寄付というと自分には縁のないこと、とか、信頼できない、といった理由でやらない人もいますよね。でも世界がよくなってほしいと思うのであれば、それが自分の幸せとか楽しさにつながってくるわけなのだから、気楽にはじめてみればいいんじゃないかな、と思います。
僕が小学校高学年のころにバブルが崩壊して、日本がどんどん下り坂になっていった。ニュースを見るたびに、「なんでだろう? なんでこうなっているんだろう?」とふがいなさを感じていました。そのころから新聞を読むようになって、自分で判断することを大事にしてきたつもりです。今はまだまだ勉強しなくちゃですが、いつか日本の国際貢献のために自分の行動力を役立てていきたいと思っています。僕の10代のころからの変わらぬ夢です。
「1回目のミャンマーでは本当に何もわからなくて。言葉が通じなくて辛いなぁと思っていたのですが、歓迎式の時にご馳走で出してくれたバナナをみて「banana!」と言ったら、相手のミャンマー人の方も「banana!」と返してくれて。すっごく単純なんですけど、これがうれしかったんです。ちなみにこのエピソードはJCVの学校事業部の講演ネタに使われているらしいです。国際交流って、簡単なところからはじめられるよ、ってメッセージで(笑)」
「あまり友人たちに寄付のことは話さないのですが、たまに家に遊びに来た友だちと「この貯金箱は何だ?」という話になり、「そういうことなら」と寄付していく奴もいたりしますよ」

仕事でがんばったあとのビールって、本当においしいんだってね。あ!ワクちゃんはまだ16歳だから飲んだことはないけど、JCVのボランティアさんたちやスタッフのみんなが言っているのをよく聞くよ。ユニークなルールを続ける鈴木さんの心には、ミャンマーで出会った人たちへの優しい想いや、日本のために何かをしたい、という強い志があったんだね。彼のような20代がいれば、日本もダイジョウブ!と心強く感じたよ。








